れいるのおと

旅、鉄道、飛行機、ひとり言。あれこれかじって語りたいだけのブログ。

東武スペーシアX コックピットラウンジに乗ってきた!

東武鉄道の特急「スペーシアX」のコックピットラウンジに乗ってきた。

IMGP3446



2023年7月15日、東武鉄道で「スペーシアX」という新しい特急の運転が始まった。

スペーシアといえば、浅草から日光・鬼怒川を結ぶ東武鉄道の顔とも言える特急だ。スペーシアXはその後継にあたり、スペーシア号が培った伝統やコンセプトを継承しつつ、より進化した快適さと居住性を提供すべく誕生した。

外観は白が基調に幾何学模様の窓を組み合わせたデザイン、車内はプレミアムシートやラウンジといった新たな座席タイプと、個室、半個室、スイートルームの3種類の個室を用意。6両で6種類の座席が提供されている。
既存のスペーシア号では、座席車と個室の2タイプの用意だった。外観のカラーリングも先代と全く異なるので、伝統の継承というよりは大幅な進化とグレードアップ、豪華さと贅沢感が極められた印象。外観、内装とも全く新しい、先進的な特急車両がデビューした。


今回は、スペーシアXのコックピットラウンジに乗ってきたのでレビューを綴りたい。




コックピットラウンジは、名前の通り先頭車にある。日光・鬼怒川寄り先頭1号車、まるごと1両がラウンジだ。ちなみに反対側の先頭車はコックピットスイート。先頭車を"コックピット"と言い表すの、良い笑。

FullSizeRender

車内はまさにラウンジと呼ぶに相応しい空間に仕立てられている。

紫の絨毯が敷かれた部屋に高さ低めのソファーが並ぶ。圧迫感のない天井とやんわりと、明るくしてくれる間接照明。窓が多くて開放的、デザインは控えめながら細部にまでこだわっているのが感じられる。


総席数は20。

1人席、2人用(1+1)テーブル席、4人用(2+2)テーブル席の3種類。テーブルごとでの発売なので、1人で贅沢に使っても、家族・友人と乗っても良い。この日は4人テーブルを2人で利用する方が何組かいらっしゃった。1人席は運転席すぐ後ろのみに配置されているのだが、座ったままでは前面展望は見えにくい。そこがとても残念でもったいない...。


IMGP3396
IMGP3394
IMGP3397

椅子は低め・硬めのソファで、長時間座っていても疲れにくい。ところどころクッションが置かれているので、それを合わせて好みの体勢でくつろぐことができた。
窓は珍しい六角形型で、ブラインドはなくカーテンで遮光する。こうして一部だけ切り取ると列車の中とは思えない、そんな空間だ。


驚いた点は、このソファは固定されていないこと。普通、鉄道の椅子って万一の衝撃のため固定されている。しかしこの椅子はフリー。急ブレーキの時でも動かないようになっているらしく、コクピットスイートの椅子でも同様に椅子を動かせるとのこと。ちょっと椅子を前に出そうかな...ってことが出来ちゃうわけですが、それなりに重かったです(当たり前)。


IMGP3395
IMGP3405

壁掛けのライトは竹細工をイメージしたデザイン。スペーシアXは伝統工芸や銘品、東京と日光・鬼怒川の特色が車両の各所に織り交ぜられているため、細かい部分も見所である。お互いが主張し過ぎず程よい匙加減でまとまっているのが良い。

客室からは窓ガラスを隔てて運転席が見える。見せることを意識して設計されており、例えば乗務員カバンは専用のボックスにしまうなど、展望にこだわった設計がされているとのこと。ガラスが綺麗で、見通しが良かった。


IMG_2144
FullSizeRender
FullSizeRender
FullSizeRender

こちらは車端部にあるカフェ。「GOEN CAFE(ごえんカフェ)」という店名は、旅にまつわる"ご縁"を願って付けられたもの。列車に車内販売はなく、飲食物の提供はここでのみ行われている。

メニューはコーヒーや軽食のほか、酒類の提供も行っている。売られているものはみな日光・鬼怒川にゆかりのあるものばかり。メニューのリンクを貼るので参照して欲しいのだが、とりわけお勧めしたいのは酒蔵とコラボした酒粕のバターサンド。これが大変美味だった。あとは、スペーシアXが描かれたラングドシャ(クッキー)。ヨックモックだから味は間違いない。記念品としてもオススメだ。

メニュー:https://www.tobu.co.jp/spaciax/assets/img/cafe/menu/goen_menu.pdf



ちなみにカフェ利用は、この車両の乗客に限られている。他の号車に乗車の方は、インターネットで整理券を入手した方のみ利用可能だ。先着順なので要注意。


こうして利用者数が限られているのは、ラウンジ利用客としては嬉しい配慮だ。喧しくなることがなく、終始ゆったりした時間を過ごさせてもらえた。購入客でワイワイガヤガヤしたら敢えて乗ってる意味が...となりそうなので笑。


 

FullSizeRender
IMG_2149

この日の天候は晴れ。窓が大きい、椅子の背もたれが低い、そして運転席の先も見通せることから、景色を広々と見渡している実感がある。前に映った景色が横に流れて消えるまでを、しっかりと目で追える感覚は、今までの鉄道車両では味わったことない。開放感が感じられてとても良かった。


それだけに、立ち上がらないと前面展望がしっかり見えないのは惜しいポイントかな。東武鉄道も前面展望が出来ることを推してないので、そこにこだわってないだろう。でも、勿体無い笑。

今回乗車したのは浅草から乗って日光まで、約1時間50分ほど。本当にあっという間の乗車旅。大満足でスペーシアXを降りた。



FullSizeRender
FullSizeRender

最後に、お金の話。
料金体系は、普通席とプレミアムシートで分けられている。例えば浅草〜日光は普通席1940円、プレミアム2520円(運賃別)だ。
そしてラウンジや個室は、プレミアムシートの価格にさらに特別座席料金が上乗せされる。ラウンジはお値段は1人席で200円。4人席で800円だ。

安くないか?安すぎる。3000円でこんな贅沢で快適な旅をして良いのだろうか。広々ゆったり快適に移動できるこの空間が、数百円の追加料金とは恐れ入った。このラウンジはお得感がかなり高めな車両だと思う。




こんな車両が一般特急車両として登場するとはね...。良い意味でやり過ぎ。ビアサーバーを電車の中で見たのは初めてでした笑。方向幕がもはや行き先表示だけでは無くなってるのも斬新です。
観光特急のハードルを上げてくれたスペーシアX。これを超える新型特急は現れるのでしょうか。



今回はこの辺で。