JR北海道で活躍を続けるキハ183系。この春に引退が発表されている形式である。
石北本線特急に用いられているキハ183系のグリーン車に乗車してきた。
石北本線の特急は、札幌~網走を走る「オホーツク」と旭川~網走を走る「大雪(たいせつ)」の2種類。運転区間だけが異なり、停車駅の違いや充当車種の違いはない。繁忙期を除き、4両のキハ183系が担当している。
さて今回は、札幌から特急オホーツクに乗車する。
日本で唯一、ロシア語の列車名である特急オホーツク。2022年初頭に始まったキャンペーン以来、1990年頃まで使われていたイラストタイプの旧ヘッドマークが復刻し掲げられる。
グリーン車があるのは2号車。キハ183系のグリーン車は、座席位置が通常よりも高い"ハイデッカーグリーン車"となっており、この形式、この列車のウリの1つだ。国鉄民営化前後の特急列車を象徴するような設備ともいえるだろう。
乗車時に段差、車内でスロープを上り客室へと入る。
暖色系の照明は、蛍光灯オレンジらしい独特な色味をしていて撮影の色出しに少し困る(笑。座席はJR北海道の標準として他形式とも統一されているもので、キハ281系のそれと同じだ。当サイトではすでに紹介済みなのでそちらも参照されたい。
つまり筆者はすでにこの座席を体感済みであるため、正直なところ目新しさはなく残念だった。しかし、抜群の快適性を持つこの座席に再び出会えたのは大きな喜びだった。
幅の広い座席、肉厚で柔らかいクッション、体を沈めればもう快適。割と深めに体が沈むうえにしっかりとホールドされるため、よく揺れる車内でも振動が体に伝わりにくく快適だ。これは椅子ではなくソファだ。素晴らしい。
ハイデッカーグリーンらしいメリットは、目線が高くて新鮮なことくらいだろうか。しかし、走れど走れど緑の景色が広がっている広大な北海道では、目線が高いことによるメリットはほぼ感じられなれない。高い位置ならではの景色があると良いのだけど、そういうものは日本全国の路線を見てもなかなかない。だからハイデッカー車は減っているのかもしれませんね。
終点網走までは札幌から5時間半、旭川から4時間の行程。
旭川から先は、距離で言うと車の所要時間の差はほとんどない。石北本線は難所の多い区間ばかりがゆえ、どうしても標定速度を上げられない。よって古い車両が当てがわれてしまう石北本線だが、数々の難所を毎日超えるキハ183系は逞しさすら感じられる。
何の御縁か、鉄道好きな車掌さんとお話しながら終点網走へ。あっという間に到着、とはいかなかったけど、思い出深い乗車となりましたとさ。
今回はこの辺で。
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