れいるのおと

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【広島・下関へ】サンライズゆめ号はなぜ廃止されたのか

サンライズ出雲・瀬戸号で活躍する285系
5編成中、2編成ずつでサンライズ出雲・瀬戸号を担当するため、通常1編成は予備車。しかし繁忙期はその予備車で増発臨時列車が設定されるのが恒例だ。今回はかつて設定されていたサンライズゆめ号について触れてみたい。

 

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サンライズゆめ号は、寝台特急出雲・瀬戸がサンライズ号となった1998年に運転を開始した臨時寝台特急だ。運転区間は東京〜広島間、下りは岡山着、上りは下関駅発の列車もあり、かつての寝台特急あさかぜ号と同じ区間を走る列車だった。列車は7両単独で、繁忙期に不定期に運転。2008年冬まで約10年間設定されて続けた列車だった。

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サンライズゆめ号のダイヤ
下り:東京22:10-横浜22:35-京都4:44-大阪5:20-岡山7:37-広島10:09
上り:(下関15:27)広島19:05-岡山21:34-大阪23:41-横浜6:02-東京6:27


・定期列車 サンライズ出雲・瀬戸号のダイヤ
下り:東京21:50-横浜22:15-岡山6:27-出雲市9:58
上り:出雲市18:53-岡山22:34-大阪0:33-横浜6:44-東京7:08


サンライズゆめ号のダイヤは、かつて東京-大阪間を走っていた寝台急行銀河81・82号のものを利用しやすいものだった。行き先以外の定期列車との大きな違いは、上下列車とも大阪に停車する点だ。
定期列車では大阪駅には上りのみ停車するが、サンライズゆめ号はでは上下列車とも大阪に停まる。下りは大阪5時代、上りは23時代に到着するため、東京-大阪間のダイヤがゆったりしていることが窺える。銀河のスジを流用したならではの、関西への利便性をより高めた列車だったと言えるだろう。


大阪から先、下り列車の岡山到着は7:39に到着、広島には10時前後(年や行先によって異なっていた)だった。広島着時刻は、のぞみ1号(東京始発の1番列車)の到着時刻とほぼ同じ。これでは寝台特急を利用する上での最大メリット「最終の新幹線より遅くに東京を発ち、始発の新幹線よりも早く着く」が得られない。結果、岡山までならサンライズが優勢、広島なら新幹線でも良い、というダイヤ設定である。

ゆめ号が廃止された理由の1つはここにあるのだろう。大阪・岡山まではこのメリットの恩恵に預かれるけど、それより以西ではあまり発揮されない。ならば下関・広島まで運転する必要性はあまりない。
加えて定期列車のサンライズ出雲号は乗車率の良いと言われる。また、定期列車で行き来する場所には運転整備する施設が整っていること、そして285系が所属する後藤総合車両所が米子にあることなど、出雲増便の方がしやすく都合が良さそうである。こういったことが、ゆめ号が設定されなくなった理由だろうと個人的には考えている。

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サンライズゆめ号の最後の設定は2008-09年の年末年始。以降、予備編成を使用した臨時列車は、サンライズ出雲91・92号が設定されるようになった。

サンライズ91・92号のダイヤ
下り(91号):東京22:21-横浜22:44-大阪6:04-岡山8:48-出雲市13:07
上り(92号):出雲市15:33-岡山19:39-大阪22:29-横浜5:56-東京6:23


主に繁忙期に設定されるこの列車は、出雲市までを往復する。定期サンライズよりも遅れて出発、かつゆったりしたダイヤが組まれている点、上下列車とも大阪に止まる点はゆめ号から引き継がれている。
東京~大阪間の乗車時間はゆめ号よりも長めに取られながら、終電よりも遅く始発よりも早い時間設定。関西圏への利便性が高く、その区間の利用も多いよう。繁忙期にのみ設定されることもあり、毎回ほぼ満席で運転されるほど人気が高い列車となった。
ゆめ号の改良版、みたいな存在かもしれない。大阪・岡山への利便性を確保。そのうえで目的地を天秤にかけた時、新幹線のある広島・下関より特急しかない出雲市が選ばれたのだろう。この列車によりゆめ号は事実上廃止になり、山陽本線岡山以西の寝台列車は、完全に消滅したことになった(後にWE銀河により復活)。


ゆめ号の人気がいかほどだったのかはわからないけど、山陽エリアへの寝台特急復活はやってみても良いのではないかな。ロマン強めで考えるとそう言いたくなるけど、ロマンとお金は相容れない関係である(笑)。そして山陽には新幹線という優等列車がある以上、山陰行きは妥当だろう。
まぁ、唯一の寝台列車となった今、あれこれ申すべきではなかろう。現状維持で末永く走り続けてくれることを願うばかりです笑。


今回はこの辺で。