れいるのおと

旅、鉄道、飛行機、ひとり言。あれこれかじって語りたいだけのブログ。

歴代ロマンスカーに会いに行く—後編—

前編のつづき。
引退した往年のロマンスカー車両たちに会うべく、海老名にあるロマンスカーミュージアムに行ってきた。

 

 

www.railnoote.net

 



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前編の最後に載せたSSE車とNSE車の反対側。10000形HiSE車がいる。

HiSE車は、1987年登場、2編成が製造された車両だ。ハイデッカー構造を採用したロマンスカー車両で、VSE車の登場まではロマンスカーの代名詞として走り続けていた。2012年に引退後、1編成はコレ、そしてもう1編成は長野電鉄へ譲渡されている。
長野電鉄に渡った個体は今でも現役で、小田急時代と遜色ない姿で活躍している。が、ボディ色は長電カラーに改められているため、見た目が若干オリジナルと異なっている。つまり小田急オリジナルカラーのHiSEが観られるのはここだけ。まぁ、ここだけしか見られないものばかりなのだけど笑。


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HiSEの車内。見学も着席も可能である。
車内は展望重視で高低差がある、非バリアフリーな造り。この構造のせいでHiSE車は比較的短命に終わったと言われている。

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展望席から見るロマンスカー並び。なかなか乙ですなぁ。


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車両の反対側、HiSE車の連結面。
連接台車を用いた車両の断面を見られる機会は少ない。興味深く見学させてもらった。


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こちらはちょっと別の角度から。
HiSEの次は見学順路的にはRSE車。その間にはレールが敷かれており、空白のスペースに。VSEの展示を想定している...?



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20000形RSE車。
こちらは小田急と直通するJR御殿場線の「特急あさぎり」用に、小田急側が用意した車両である。
1991年登場、2編成製造され、JR東海製造の371系とともに活躍してきた。RSE車は2012年の引退後、1編成はこうして保存展示、もう1編成は富士急行線で「フジサン特急」として活躍中。富士急には371系も転入しており、旧あさぎりの両者はともに現役であると言える。

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RSE車は先頭車とダブルデッカー車の2両が展示されている。
どちらも車内見学が可能だ。

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こちらは先頭車。座席に座ることができる。
訪問時はたまたま、富士急とのコラボでフジサン特急の車内が再現されていた。古巣が新天地側に寄せていくパターンはあまり見たことがないかも笑?


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こちらはダブルデッカーの2Fと1F。
2Fはグリーン車、1Fは半個室になっている。着席はできない。

製造年が近いからか、どことなくJRの251系スーパービュー踊り子に似ている。そういえば、特急列車にダブルデッカーというのは最近はほとんどなくなってしまったなぁ...。平成の象徴になりつつあるのかもしれない。今後登場してくれるだろうか?


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こちらはロマンスカーアカデミアという名前の資料室。
小田急の歴史やロマンスカーの軌跡など様々な資料、書籍が並んでいる。


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奥のビデオコーナーではロマンスカーミュージアムの開業秘話が映像で紹介されている。
企画、施設や車両の整備、搬入まで、社運を賭けた一大事業であったことが覗えた。






2Fへ上がってきた。
ロマンスカーミュージアムの順路は、2Fから入場、車両展示のある1Fを巡った後、2Fの展示を見て帰着という流れだ。
2Fの展示内容は、鉄道模型ジオラマやシミュレーター、キッズコーナー、ミュージアムショップとなっている。こちらもそれぞれ大変魅力的だったので少しずつご紹介。


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まずはこちら。鉄道模型ジオラマだ。
鉄道博物館の一般的なジオラマとはテイストが全く異なっている。ガラス張りではないし、スタッフの方によるショーは行われない。

かと言って、ショータイムが無いわけではない。背景のスクリーンに映し出される映像、照明、音楽によるショーが、一定の時間おきに行われている。
これが新鮮でおもしろく、楽しい。ジオラマといえば博物館のウリの1つでもある。人がアテンドしない模型ショーは初めてだったけど、工夫が施されていてまさに演出の妙だ。


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ジオラマではロマンスカー全車種が走行、箱根登山鉄道もいる。一部運転体験できるものもあった。



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こちらは運転シミュレーターのコーナー。
車種は700000形LSE車、先着順で1回500円で体験できる。訪問したのが平日だからか、すんなりと参加権を得ることができた。

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シミュレーター体験はガイド案内付きで、LSE車で使われていた運転台を使って運転する。運転室の天井の低さに驚きながら、靴を脱いで入室して着席。15分程度の運転体験だった。
映像は引退前あたりに走った試運転か何かだろうか。ギャラリーの数がすごい(笑)。


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キッズコーナー。
柔らかい雰囲気と随所にあしらわれているロマンスカーカラーのバランスがちょうど良くお洒落。

ミュージアムショップはバーミリオンオレンジでまとめられた、こちらも良い感じの空間だった。


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こちらは入り口付近。VSEタペストリーが掲げられていた。


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表に出てきた。こちらは入退場口付近。
ロマンスカーを模したオブジェがあり、左奥はカフェになっている。構造的に、博物館入り口のスタッフルームと繋がっていて、デザイン的に良い感じ。

総評・まとめに入りたい。
そもそもロマンスカーという名称は、ロマンスシート(2人掛け席)を持つ車という意味で、当初は小田急だけでなく様々な私鉄路線で用いられていた。次第に列車名からロマンスカーの名を消す会社が増えてきた中で、小田急では一貫してその名を用い続けてきた。その結果「小田急=ロマンスカー=展望車&バーミリオンオレンジ」のブランドイメージを確立している。そんな歴史と伝統あるロマンスカーたちを紹介・保存する施設が出来たことが、個人的には嬉しかった。
そして館内では、それらが実にソフトなテイストで語られている。オタクでなくても充分楽しめるような演出と、車両のカッコ良さを十二分に生かした展示。スタイリッシュかつ緩急が効いていて、実に小田急らしい大変素晴らしいミュージアムだったなとしみじみ感じたのでした笑。


2022年9月訪問

今回はこの辺で。