南紀はJR東海・伊勢鉄道・JR西日本で運転されている特急列車。名古屋と和歌山県の新宮・紀伊勝浦間を結んでいる。
使用される車両はJR東海のキハ85系、1989年デビューの特急型気動車だ。新型車両HC85系の投入により、近い将来に引退が決まっている形式であり、ひだは2023年3月まで、南紀は6月までキハ85系が充当される。
今回はキハ85系の乗り納めの意味も込めて、南紀1号に乗車する。
まずは車内全景から。
座席は通路より1段高いハイデッカー構造を採用。大きな窓を兼ね備えており、キハ85系の代名詞"ワイドビュー"の名に恥じない造りとなっている。
普通車なのにカーペット敷きという贅沢さ。車内の色合いや雰囲気がどことなくJR九州の783系に似てる気がするのは、同じ頃に製造された車両だからだろうか。
座席は肉厚で柔らかい。見た目通り、起伏あるクッションが体を支えてくれる。フットレストまで用意されており快適さに驚かされる。シートピッチは1000mm。
とにかく窓が大きく、前面展望が見られなくてもこれは嬉しい。ブラインドはカーテン式、フックの用意もあった。
さて、特急南紀の特徴の1つであり、今回乗車した目的でもある名古屋寄り先頭車がコレだ。
前面展望といえばほとんどの場合、グリーン車や指定席で設定されている。例えば同じキハ85系充当の特急ひだでは指定席だった。
しかし、この特急南紀では展望車は自由席。つまり、早い者勝ちで最前の座席に座れるという、大変乗り得な列車になっている。
展望車が連結されるのは名古屋寄り。ただし、繁忙期の増結運転時はこの限りではない。通常、新宮寄りは貫通型の顔つきをしており、ワイドな展望は楽しめないので注意。
始発駅から乗り込んだおかげで無事に席を確保。新宮から名古屋まで3時間22分の乗車旅を体験した。時間で考えれば少し長いけど、肉厚座席で疲れにくく、展望が良く飽きが来ない。山と海を交互にリズムよく眺めた後、三重県から名古屋まで徐々に市街地になっていく。グラデーションがあって興味深い車窓だ。実に快適で、楽しい時間を過ごさせてもらった。
存続すら危ういとも囁かれる特急南紀だが、途中駅からの乗車は少なくなかった。通常は2両運転と短いが、繁忙期には増結もある。当面の間、列車は存続してくれるだろう。
これにて僕のキハ85系乗り納めは終了。長年に渡る活躍、お疲れさまでした。次に訪問する時はHC85系で!
今回はこの辺で。
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