れいるのおと

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【熊本で留置中】フリーゲージトレインを見学する

今月上旬、熊本を訪れた時のお話。

フリーゲージトレインが熊本車両センターにいるらしいとの噂を聞いて、あまり期待せずに九州新幹線車両基地「熊本総合車両所」へ向かった。

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フリーゲージトレイン(略してFGT)とは、つまりレール幅が異なる新幹線と在来線の両方を走れる車両として、開発が進められてきたもので、軌間可変電車とも呼ばれる。この車両は2014年に登場した3代目の車両で、形式はFGT-9000形とされている。鉄道運輸機構が所有し、主にJR九州管内で試運転を行ってきた。


九州で試運転を行っていた理由は、長崎新幹線への導入を目指していたためだ。欧州では実用化されているFGTだが、向こうでは主に客車列車に採用されているらしく日本とは状況が異なる。高速走行が求められる新幹線への導入は、部品の摩耗やコストの増加、車両重量が増したりするなど実用化が難しく、長崎新幹線への採用は断念すると発表されている。
現在の開発進行状況は不明だが、FGT-9000形はここ2、3年は走行していないようだ。


さてさて、ここからは細部を観察していこう。

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まずは鹿児島寄り先頭の1号車。
赤とゴールドの塗装でアイアンマンを連想させる色合い(笑)。正式には「ディープレッド」と「シャンパンゴールド」というらしい。
E2系に似た流線型だが、E2系より丸っこい感じだろうか。側面にあるFGTのロゴがカッコいい。

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1号車の博多寄り。
FGTは在来線を通るため、車体幅が在来線車両と同じミニ新幹線仕様。そのためミニ新幹線同様ステップが付いている。
隅が丸っこくて小さめの窓、大きめの電光掲示版は、最近の新幹線のトレンドを踏襲しているように思う。なんとなくE5系E6系に似ているような印象。

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1号車の台車。
軌間変換装置があるからか、やはり普通の台車よりメカニカル。最近の新幹線は台車もカバーで覆われて見えないので、台車が見られるのはかえって新鮮な感じだしメカニカル好きとしては嬉しい。


先頭車ながら、九州新幹線の急勾配に対応すべく電動車の設定。というより、4両全てが電動車である。よって、1号車に敢えて記号を振るのならクモヤだろうか。

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新幹線ではあまり見かけない車体間ダンパーが付いている。幌は側面のみの幌を採用。

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2号車。
この車両のみ日立製作所製造で、残りの3両は全て川崎重工業製の車両となっている。
全席にブラインドが下ろされていて中が見えないが、車内の写真は報道公開等で撮影されたもので見ることができる。座席は300系のものが使われているらしい。

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2号車博多寄りにあるパンタグラフ
E6系パンタグラフに似たタイプのもので、編成中にパンタグラフはこれ1つのみだ。車両の仕様がミニ新幹線と同じなので、各部品もミニ新幹線のものを基本としているのかも?と思ったり。


博多寄りでは800系と連結した状態だった。

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冒頭で触れなかったが、FGTは連結器むき出しで、両端先頭車に連結器カバーがない状態で留置されている。おそらく構内移動時にアント(車両を移動させる機械)で引っ張りやすいためだと思われる。

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連結相手は800系U005編成。2016年の熊本地震で脱線した編成で、2018年に廃車扱いとなっている。
鹿児島寄り3両しかおらず、あとの3両は解体されたようだ。

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連結面。
連結面はなかなか見る機会がないのでこれはこれで貴重な写真かも。


FGT-9000形はこのまま廃車になってしまうのだろうか。状況からみるにその可能性が高そうである。
四国や北陸方面での活躍も期待されるなど、多くの可能性を有するまさに夢の列車であるFGT。かなりの開発費を投入して断念というのは残念だが、研究とはそういったものなのでしょう。
欧州に倣って、貨物列車への導入したらどうだろう?もし新幹線FGTの実用化が難しくても、この研究成果を使って新しい何かが生まれて欲しい。国は規模を縮小しながらも開発を続ける、としているそうなので、続報に期待したいと思う。



最後に補足。
FGT-9000形が留置されている熊本総合車両所だが、国道3号(川尻バイパス)の西側に位置しており道路からも車両基地が見える。また、車両基地東側に道があるため、フェンス越しだが近くに寄って見学がしやすかった。興味のある方はぜひ。



今回はこの辺で。






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