れいるのおと

旅、鉄道、飛行機、ひとり言。あれこれかじって語りたいだけのブログ。

―令和生まれの食堂車―サフィール踊り子のカフェテリアを覗いてみる

食堂車サービスの全盛期というと、新幹線黎明期や寝台特急の運転が盛んだった頃を指すだろう。サービスの廃止が相次ぎ、食堂車という車両そのものも相当数を減らしてきた。
が、近年は食事を伴う観光・イベント列車が流行り。食堂車を示す車両記号“シ”が付される車両が再び増え始めている。一時は消滅危機まで行ったために、これは喜ばしい笑。


ただし、近年増えている食堂車はどれも改造から生まれた車両たち。JR東日本の「フルーティアふくしま」やJR西日本の「あめつち」、JR四国のものがたりシリーズなどがそれだ。

今の時代、新造で食堂車が作られるのは四季島、トワイライト瑞風、ななつ星といった豪華寝台列車に限られている。
それ以外、一般的な列車に連結するために食堂車を新造するなど、賭けに出るようなものなのかもしれない。



...と思っていたところ、なんと新造で食堂車が登場したのです。E261系サフィール踊り子という列車であります。定期列車に"シ"の車両が連結されるのはかなり久しぶり。食堂車と案内はないものの、復活と言ってよさそう。個人的にはかなり衝撃的なニュースでありました。


さて、先日この列車に乗車した際、食堂車の写真を撮らせてもらった。今回は、そんな令和生まれの食堂車について触れていきたい。
なお、今回は車両そのものをフィーチャーするため、食事レビューは省略する。

 

 

www.railnoote.net

 

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まずこちらが車内全景。
食堂車は、8両編成のサフィール踊り子の4号車にある。"食堂車"ではなく"カフェテリア"と横文字の名前が付けられた洒落た車両だ。
ラーメンやパスタ等の麺類をメインに提供しているため、ヌードルバーとの名称もある。
かつては"食堂車連結"が時刻表などにも案内されていたけど、サフィール踊り子ではそのような案内はない。あくまで軽食スペースと捉えて良さそうだが、かなり本格的だ。

小窓たくさんの車内は、暖色系の照明にソファ風の座席、対面と窓側向きのカウンター席が備わっている。

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縦アングルで。
機器類を床下に集中配置しているため、天井は高い。1枚1枚大きい窓が多数配置され、何とも解放感がある。
外から見ると車内暗めに見えるE261系だけど、窓のおかげで採光量が多く、車内は思った以上に明るい。夜は夜で落ち着いた雰囲気を楽しめそうで、それもまた良いだろう。

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スタイリッシュなインテリアで、ホテルのラウンジのような雰囲気。ワインやビール、コーヒーなどドリンク類も充実しており、ゆったりくつろぐことができそうだ。
ヌードルバーって聞いてたけど...カフェテリアの色が濃いなあという印象を受けた。プレスリリースでは連呼されてたヌードルバーという名称、今はあまり呼ばれていないらしい笑。


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さて、主室以外の場所もちらと見学。
車両の半分は、調理場/キッチンと車販準備室に充てられている。脇に通路が設けられているから車内通り抜けが可能。写真はその通路。
これ、寸法は測っていないがかなり狭く、大人2人がすれ違うのがやっと。近年の車両では稀に見る細長い通路になっている。

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車内案内図を見てみる。
やはり4号車はカフェテリアと案内されているのですね。正確な図面は省略されている。

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最後に車番をパチリ。
形式はサシE261。モーター・運転台なしの付随車を意味する"サ"と、食堂車を意味する"シ"からなる。"シ"は、食堂、ビュッフェ設備のある車両に付けられる記号であるため、カフェテリアは正式に食堂車に分類されるわけだ。


列車の高速化とコンビニの増加により、需要が減っていったと言われる食堂車。この令和の時代に新造で生まれた理由は、高価格帯の列車であることが1つだと思う。
また、踊り子には並行して東海道新幹線が走っている。よって、東海道線特急では速さよりも景観や列車を楽しめる車両が投入されてきた。E261系は先代251系スーパービュー踊り子をあらゆる面で進化している。
つまり、新造車の食堂車誕生の理由は、豪華装備の車両であり、ワンランク上の旅を!を謳う列車だからできたことなのだろうと推測。四季島やトワイライト瑞風のそれと近いかもしれないですね。

食堂車利用はなかなかできない体験ではある。ぜひ次回乗車時には体感してみたいですね。


ちなみに5月25日は食堂車の日。
日本初の食堂車が1899年5月25日、山陽鉄道(現:山陽本線)の京都~三田尻駅(現:山口県防府駅)間で連結されたことに由来する。
そしてこの記事は、その日付に近かったことが由来している笑。そんなわけで食堂車のお話でしたとさ。


今回はこの辺で。