れいるのおと

旅、鉄道、飛行機、ひとり言。あれこれかじって語りたいだけのブログ。

719系「フルーティアふくしま」東北スイーツと磐越西線の旅

JR東日本 磐越西線を走る719系「フルーティアふくしま」。乗車記と食レポ

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JR東日本の"乗って楽しい列車シリーズ"の1つ、フルーティアふくしま。「走るカフェ」をコンセプトに、福島県産フルーツを使ったスイーツを楽しみながら旅ができる列車だ。

2015年にデビュー、東北本線の仙台や郡山、磐越西線会津若松などを結ぶ観光列車として運行されてきた。しかし、車両の老朽化が進んでいることから、2023年内で運転を終了することが発表されている。

そんな引退迫るフルーティアに乗車してきたので、そのレビューを綴っていきたい。



 

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まずは車両から。
車両は719系700番台。0番台のH-27編成2両が改造されてS-27編成を名乗り、仙台車両センターに配置されている。
足回りなどの機器類に大きな変更はないものの、外観は大きく変化している。外装は、漆や赤瓦など会津を連想させる色味を使いながら、大正モダンなテイストに。3つあったドアは1つ塞いで2ドアになった。


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では詳しく見てみよう。まずは東京寄り1号車クシ719から。

東京寄り先頭車は、改造により"クシ"を名乗っている。制御車の"ク"に食堂車の"シ"の組み合わせは、国鉄時代を含めても初めてだそう。
車内はとてもお洒落で、カウンターバーのような作りに。フリースペース扱いの車両で、カウンターと窓側に並ぶ椅子は、乗客は自由に利用できる。カウンターには事前に箱詰めされたケーキと珈琲マシン、紅茶を入れる用具が揃っていた。

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カウンターで行われていたのは、ドリンクバーの提供とグッズ販売。
食堂車"シ"の定義は供食設備があること。今回の乗車では、あらかじめ調理・カットされたデザートの提供で、本設備を使ったりパティシエが同乗したりはなかった。うーん、せっかく設備があって"ライブキッチン風"なのにもったいない...。ところで、"供食設備"とはどこまでを示すのだろうか(ドリンクバーは入らない気がする)。




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続いて、仙台・会津若松寄りの先頭2号車。

車内はソファ席が並んでおり、2人掛けと4人掛けの2種類のテーブルが設置されている。乗客は2号車に着席するように販売されており、この車両で過ごす利用者が多い。

革張りのソファは、寛ぎも座りも快適でやや硬めのものだった。ファッションでいうビジカジのような、オンオフ両使いできる座席が良い。肘掛けもあるのでとても寛ぎやすかった。通路より1段高いところにあるため、より景色を見渡すことができた。


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車端部のフリースペースにもベンチソファがあった。





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座ると目の前には紙製のランチョンマット。ロゴ入りの列車限定仕様、電車とフルーツとカトラリーをうまく混ぜ合わせたかわいらしいデザインが良い。

座っていると、先ほど1号車に用意されていた箱入りのケーキと桃のジュースが運ばれてきた。メニューは月ごとに変わっており、地元の人気店がプロデュースしている。この月のメニューはfruits peak監修のタルトとゼリー。fruits peaksは東京駅や大宮駅にも出店している地元で人気のお店だ。
そして、飲み物にコーヒーと紅茶。アイスの場合は1号車へ取りに行き、ホットの場合はアテンダントの方々が淹れて提供してくれる。国鉄車の719系磐越西線だから車内は割と揺れるんだけど、丁寧に粗相なく接客してくださった。素直にすごい笑。


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乗り合わせた乗客は、子連れ、カップル、親子、仲間同士など様々。程よく賑やかに談笑が交わされて、さながらカフェのよう。接客やメニューなど含めて"走るカフェ"のコンセプトをしっかりと体験。郡山から会津若松・喜多方まで約2時間の乗車旅が、本当にあっという間に感じられた。これでお値段6000円(乗車券1170円込み)。高いと取るかお得と取るか分かれるところだろう。


最後に、思うところを述べるのなら、ちょっとした物足りなさが感じられたかなと。
以前乗車したTOHOKU EMOTIONと比べると、あちらの方がとても良かったと感じる。ほぼ使われていないライブキッチン、用途がイマイチはっきりしないカウンター席、事前に箱入りされたカットケーキと缶ジュース...これで6000円は、僕の感覚では「高い」に入る。演出の問題かもしれないけど、そこって大事だと思うんです。


そんな不満もありつつも、乗車できて良かったかな。719系で最初で最後のジョイフルトレイン、貴重な体験でした。



今回はこの辺で。